紫煙のダンディ (2002)
平野 信輔
紫煙の似合う人でした。
吸っていて欲しいと思う人でした。
背広のポケットから一本取りだし、火をつけてフーッと一息。その格好良さ。煙草嫌いの私に、煙草もいいものだな、と思わせる。さすがでした。
知を楽しむ人でした。
質問をなさる時も、グループワークの話し合いも、楽しそうに。うれしそうに。
話の端にときおり混ざる、思わずにやりとしてしまう冗談。
和やかな微笑を、広げてくださいました。
忘れません、「良すぎです!」のひとこと。ある年の新年会、「私なんかが講師で本当に良いのか、不安に思いながら続けております」と申し上げた時、言っていただいた言葉です。あのときも、柔らかな笑みに場が包まれました。
おかげさまで、図々しくなりました。優しい言葉に甘え、もう10年も居座り続けています。このまま居てもいいですか。そう問えば、きっと「まだまだです!」と答えてくださるでしょう。図々しくも、そう思い込んで、まだまだ頑張らせていただきます。
村田先生 どうぞ、安らかに。
合掌